利用者・職員の双方にとって
安全・安心な施設へ
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特別養護老人ホーム万寿の家
次長兼支援課長 野上 様
特別養護老人ホーム万寿の家は1965年11月に開設した特別養護老人ホームで、兵庫県下でもっとも歴史のある特養です。2020年10月の移転に伴い、様々な介護ロボットや福祉用具が設置されました。
腰痛による離職0を目指したい
ーノーリフティングケアに取り組むきっかけは何だったのでしょうか?
平成22年頃にノーリフティングケアに取り組んでいて、数台の床走行式リフトや移乗支援用具を使用したりして、細々と続けていたものの、組織全体として定着しなかったという経緯があります。
継続して実践していた職員からは、「腰痛がなくなった」という言葉が聞かれましたので、職員の腰痛予防対策、腰痛による離職0を目指したいという思いがありました。
本格的に取り組むきっかけとなったのは、50年以上を経過する老朽化した施設を新築移転することが平成29年に決まったことです。新しい施設のコンセプトの一つとして、利用者・職員の双方にとって安全・安心な施設であることを掲げて、その中のアクションプランとして、「施設まるごとノーリフティングケア」に取り組むこととしました。
ーノーリフティングケアを導入後に、職員の変化がありましたか?
ノーリフティングケアを始めて、その定着が進み腰痛を訴える職員は確実に減っています。また、腰痛が原因となる離職はなくなっています。ノーリフティングケアは、単に福祉用具を活用するものではなく、職員自身の姿勢や重心移動を意識した動きを行うことが大切です。
浴室に天井走行リフトを導入したことで、シャワーキャリーへの移乗は、2人で介助していたことが1人で介助出来るようになり、その際の腰への負担は劇的に改善しています。リフトを使用するときは、以前よりも少し時間がかかりますが、返ってそれがゆっくりコミュニケーションをとる機会となり、「良かった」と話す職員もいます。また、ノーリフティングケアに興味を持って就職を希望する方も出てきています。
ーノーリフティングケアを導入後に、入所者の変化がありましたか?
ご自身で立つことができない全介助の方を抱えて移乗介助することで、車椅子やベッドに脚が当たって、表皮剥離や内出血を作ることがありましたが、リフトを導入したことで、そのようなことはなくなりました。
下肢の筋緊張が高い方が、スリングシートにつられて自重がかかることで、筋緊張が緩和されるような身体機能面への効果もあります。リフトを活用することで、車椅子の座面に深く座れるようになり、良い姿勢で過ごしていただけるようになったことも良かった点です。
詳しくはM.I.S.会員サイトインタビュー動画をご覧ください。
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